マンションの大規模修繕工事

2008/2/ 5     マンションの大規模修繕工事 (1) 

   

大規模修繕計画の進め方     
     
1.大規模修繕計画とは 

    
 マンションの修繕には、日常の軽微な修繕(経常修繕)と一定の期間毎に計画的に行う外壁の修繕、屋上防水工事、給排水管の取り替えの工事等の大規模修繕工事があります。     
 マンションを快適で安全な住まいとして維持し、大切な資産としての価値を保つためには、共用部分の大規模修繕を計画的にかつ確実に実施していくことが必要です。     
 共用部分の大規模修繕計画は、区分所有者が共同して費用を負担(修繕積立金)するものであり、また居住者の日常生活にも大きな影響を及ぼしますので、周到な準備を実施し、区分所有者 ・居住者の協力を得る必要があります。     
 また、大規模修繕工事を実施するためには、長期修繕計画の策定、修繕積立金・資金計画、区分所有者・居住者の合意形成等が重要となってきます。そこで、順序だてて大規模修繕計画を進めていくことが特に必要であります。     
     
2.大規模修繕計画の進め方 

    
  大規模修繕計画は、巨額な工事費が必要であり、「長期修繕計画にあるから、工事を実施する」ではなく、長期修繕計画はあくまでも修繕時期の目安であり、工事を実施する前に工事の要否をその都度見極める必要があります。     
 一般的には、修繕予定時期が迫ってきたら、建物診断等を実施し、工事の実施時期、内容等を検討します。建物診断には、日常点検や修繕状況から劣化の目立つ部位等についても診断内容に取入れるとよいでしょう。     
 次に、修繕工事の一般的な進め方を示しますので参考にして下さい。     
     
           修繕計画の進め方          
ステップ @   体制の確立……修繕委員会等の立ち上げ。     
                     工事の実施方式とパートナーを決める。     
              ※総会(方針の決定)          
ステップ A   建物の調査……建物診断やアンケート調査により修繕の必要

                     性を確認する。    
              ※建物診断費用の発生          
ステップ B   調査結果の周知・説明……報告会や広報で、居住者の認識を

                           深め、意見の交換を行う。          
ステップ C   修繕の検討……修繕内容を検討し、基本計画を行う。     
     
ステップ D   修繕内容の決定・承認……説明会等により修繕計画を確認し、

                           合意を得る。     
              ※必要に応じて臨時総会     
               (修繕内容の承認、予算、発注方法)         
ステップ E   詳細設計………見積りのための見積もり要領書や設計図書

                    (図面、仕様書)を作成する。     
               ※実施設計費の発生          
ステップ F   見積もりの徴収……公募等により施工会社を選定し、見積り依

                      頼、見積り説明会の開催、見積りの徴収、

                      見積り内容検討、面接等を行い、施工会

                      社を内定する。(設計監理方式)          
ステップ G   施工会社の決定・契約……工事発注者について総会決議を行

                        い施工会社と請負契約者を締結する。     
               ※総会(工事発注の承認)     
ステップ H   工事の準備……工事説明会を開催し、工事の周知と居住者の

                     協力を要請する。     

ステップ I   工事の開始……定例工事会議、進捗状況の広報などにより工

                    事を円滑に進める。     
                    各部の工事中検査の実施。     

ステップ J   工事完了の手続き……竣工検査の実施、竣工図書・保証書の

                         受取、工事費の清算を行う。     
                         竣工後の点検、アフターサービスの内

                         容等を確認する。     
ステップ K   新たな維持管理へ……アフターケアの確認。     
                         日常点検の見直し、長期修繕計画の

                         見直し。     
     

2008/2/22     マンションの大規模修繕工事 (2)

 

大規模修繕の体制づくりとパートナー選び     
     
 大規模修繕は、準備から工事完成まで3〜5年ぐらいかかります。これに毎年、あるいは2年ごとに交替する理事会のみで対応するには限界がありますので、継続的に検討・対処するためのプロジェクトチームが必要となります。呼称は、修繕専門委員会、修繕委員会、修繕実行委員会、修繕計画委員会、長期修繕計画委員会など様々ありますが、ここでは修繕委員会としておきます。     
         
1.修繕委員会     
 修繕委員会は、通常、修繕工事期間中はメンバーを固定し、理事会から諮問を受けて作業を行う専門委員会としての位置付けを明確にしておきます。また通常の理事会と別に頻繁に会合が必要になります。(工事が始まったら2週間に1回程度は、定例会議を開きます)修繕委員の候補や人数は、方針の決定、対外折衝、居住者への対応、広報などの役割に対応できる委員で構成できる組織となるように決定します。     
     
  修繕委員の選定のポイント     
・希望者を公募します。     
・理事や役員経験者、他のマンションでの経験者、内部の建築士などの専門家を活用します。     
・修繕委員会に出席できる様々な立場の人からバランスよく選出します。女性や若い人にも参加を呼びかけます。     
・建設会社の社員である区分所有者など、工事の発注先となりうる関係者を委員にする場合には、業務範囲を明確にしておきます。  ( 例:施工会社選定には関与しない 等 )     
          
2.パートナーの選定     
     
 大規模修繕工事は建物・設備等の劣化部の修繕・改良・更新が主体となるため、その内容はかなり高度な専門的知識を必要とします。また、新築工事と異なり居住者が生活しながらの工事であることから、準備段階より様々な検討が必要となっています。しかし、管理組合は「素人集団」が多いことから何らかの形で専門家の協力を得なければなりません。したがって、大規模修繕を実施する際に、管理組合は工事完了までのパートナー(専門家の協力)を選ぶことになりますが、この「パートナー選び」は、居住者の合意形成、工事内容、工事費、工事の発注方法(業者選定)、工事完了後のアフターケア (保障問題)とも深く関係します。     
     
   パートナーのタイプ別の特徴・問題点     
     
  @管理会社依拠タイプ(責任施工方式)     
 特徴     
 分譲会社系列の管理会社に管理を委託しているケースにこのダイプが多くあります。比較的管理能力の高い管理会社に、管理を委託している場合の典型タイプの一つでありますが、中・小規模の管理会社の場合もあります。     
 問題点     
 管理会社の管理能力による差がでます。日常管理から大規模修繕工事まで自力(総合建設業)で行う大規模なものから、日常の管理業務のみ受託している小規模までかなり差が出ます。また、会社内に技術・工事部門を持つものと、持たないものでは関わり方が全く異なり、持たない管理会社の場合全て外注となることが多く、工事施工の管理体制等に問題が残ります。     
     
  A設計事務所依拠タイプ(設計監理方式)     
 特徴     
 設計および工事監理等を設計事務所に委託するオーソドックスなタイプです。     
 問題点     
 信頼できる設計事務所をどのように選択するか問題となります。新築の場合と異なり改修工事の経験が豊富な設計事務所は少なく、また、設計監理料を要するため、小規模マンションでは負担が大きいことから、委託の方法・作業内容等を考慮する必要があります。     
     
  B施工会社依拠タイプ(設計施工方式)     
 特徴     
 企画・設計から施工まで一括して行うものです。全ての業務を業者に依拠するタイプと、何らかの形で依拠するタイプがあります。     
 問題点     
 マンション規模の小さいものでは受注側にスケールメリットがないため消極的となり、また、工事費も必要以上に割高になる場合もあります。工事内容・金額や施工会社選定、工事監理に第三者のチェックが働きにくく、修繕委員会などがこれらを区分所有者に説明できるよう十分な検討・整理が必要です。     
     
  C自主検討・監理タイプ(管理組合監理方式)     
 特徴     
 管理組合内に実行委員会組織を構成し、工事実施までの準備および工事監理まで行うものです。     
 問題点     
 大規模修繕の技術的検討や工事監理など専門的知識が要求されるため、区分所有者の中の専門家(建設関係者の場合もある)が中心に行う必要があります。しかし必ずしも専門家でない場合もあり、また、ボランティアの限界を超えることもあります。コンサルタントなどの活用や技術検討に材料メーカー等の協力を得るなど、居住者組織が確立され組合活動が活発な組合において可能と思われます。     
          
3.パートナーとの付き合い方 

    
 パートナーに任せきりにすることなく、協力してすすめていくことが大切です。「設計施工方式」を「組合監理方式」で工事を実施する場合には、工事中や完成時の検査項目・内容、合格基準などについて事前に施工会社とキチンと取り決めておくことをお薦めします。パートナーに対する管理組合の窓口を一本化し、疑問点はあいまいにしないで、パートナーに十分に説明をもとめることが必要です。     
     
 パートナーを探すには、行政窓口や関連団体などに相談することも一つの方法です。以下仙台市の関連団体の一部を紹介します。     
     
     
社団法人 日本建築家協会 東北支部      TEL 022−225−1120     
社団法人 宮城県建築士会             TEL 022−262−2867       
社団法人 宮城県建築設計事務所協会      TEL 022−223−7330     
改修設計センター                   TEL 022−371−8302     
建設診断設計事業協同組合 東北支部      TEL 022−743−0381      
東日本マンション診断保全設計監理協会     TEL 022−271−8579     
みやぎマンション保全設計協会           TEL 022−295−3125     

 

2008/3/ 7     マンションの大規模修繕工事 (3)

 

調査結果の周知・説明     
     
 建物の調査診断(竣工図書・修繕記録等のチェック、現地観察・調査・詳細診断の実施等)を行い、建物各部の現状の劣化・損傷の程度、不具合点や問題点、現マンションが有している性能の程度等を正確に把握を行います。そして、調査診断が終わった段階で、調査診断報告会を行い、区分所有者全員にマン
ションの劣化等を正確に認識してもらうことが重要です。     
          
1.調査診断報告会     
 調査診断の終わった段階で次のようなことを区分所有者、居住者にお知らせします。     
     
・マンションの維持保全の取組み (今までの経過)     
・建物診断の結果     
・意向調査 (アンケートの結果)     
・修繕の期間、工事範囲、内容の概要、優先順位     
・今後の進め方     
     
 建物診断の結果は専門的内容を含むため、パートナーに建物診断の報告・解説を依頼して区分所有者等に十分理解してもらうのが一般的です。(劣化・損傷程度、修繕緊急度、修繕提案等)また、報告会を開催すると、その場で質疑応答や意見交換ができ、管理組合としての合意形成がしやすくなりますので、スライド、ビデオなどを活用し普段気がつかない内容のことを説明する等、様々な観点から考えるきっかけになる点でも報告会は有効です。     
           
2.広報誌や修繕委員会ニュースなどの配布     
 建物の状況について、区分所有者等が皆共通の理解をしていることが必要です。そのためアンケート調の前にアンケート調査の趣旨説明、報告会の前にアンケート調査結果、建物診断結果等を広報誌や修繕委員会ニュースなどで配布することは有効です。情報を共有するには理事会や修繕委員会がまず理解し、きちんと意見をまとめ、区分所有者等に伝えることが必要です。定期的に広報誌修繕委員会ニュース等を発行するなど、日常からの広報活動が大切です。     
           
3.勉強会・見学会     
  1回目の大規模修繕工事を行うときや、給排水管の更生・更新工事などは、組合員全員が未経験者でから、大規模修繕を行った経験のある管理組合の役員等へのヒヤリングやアドバイスを受けることは重要です。また、工事現場の見学は、工事期間中、居住者が強いられる不便さの配慮や安全確保の方策、近隣対策を検討するうえでの参考になります。委員の方は、その他各種のセミナーや勉強会が数多く開催されていますので、積極的に参加しましょう。     
              
修繕の検討     
      

  建物の傷み具合や区分所有者などの意向から、修繕委員会が中心になって修繕の時期、内容、資金計画などを含めた基本計画を作成します。この基本計画の策定は専門的知識を必要とするため、パートナーに原案作成を依頼し十分に説明を受けつつ修繕委員会で検討していきます。なお、自分たちの住まいですから、皆さんの希望を取り入れて、単なる修繕に留まらず、改善工事の検討、バリューアップの検討など、楽しい夢のある計画を作りましょう。     
          
1.基本計画を決めるための主な検討事項     
     
a.工事の範囲・仕様の検討     
  建物診断結果やアンケート結果を元に、具体的な工事の範囲や仕様を検討します。     
・傷みの原因、必要となる工事内容、費用など     
・工事の優先順位     
・バリューアップの検討 (デザイン一新、安全・防犯対策、バリアフリーなど)  

   
b.概算費用の検討     
 概算工事費に次の費用を加えて概算費用を算出します。     
・修繕設計、工事監理にかかる費用     
・コンサルティング費用 (基本計画作成、合意形成のためのアドバイスなど)     
・諸費用 (印刷費、会議費、資料代など)

     
c.資金計画の検討     
・修繕積立金額が不足する場合は、資金の借入れや一時金徴収が必要になります。     
・区分所有者に一時金徴収などの負担が発生する場合は、合意形成が困難になることがあります。     
・修繕の緊急性・必要性と今後の積み立て状況などを十分に検討し、無理のない資金計画を立てます。     
     
2.主な工事範囲     
  大規模修繕の対象となる具体的な個所はどこかというと、次のような個所です。       
(1) 基礎、柱、壁、屋根などのマンションの基本となる部分(構造躯体といいます)     
(2) エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール     
(3) バルコニー、ルーフバルコニー     
(4) 機械室や電気室などの鋼製扉や各住戸の玄関ドア、アルミサッシュ     
(5) 給排水設備、消火設備、ガス設備、電灯幹線・動力設備、廊下などの照明設備、テレビ共聴設備、防災設備などの各住戸入口までの配線・配管など     
(6) 集会室(所)、駐車場、バイク置場、自転車置場     
(7) 建物の敷地、敷地内の通路・広場・緑地     
(8) 敷地内の屋外灯、掲示板、柵など     
          
3.主な工事内容     
  主な工事の内容は、次のようなものがありますが、年数を経るにしたがって劣化した部分などを修繕する工事と、当初の水準や性能や機能をよりよいものにグレードアップする改良工事があります。これをあわせて改修工事といいます。     
     
(1)下地補修工事     
 外壁、屋根、廊下、階段、バルコニー等のコンクリート壁・手摺壁・上げ裏(天井面)、庇等のひび割れや欠けている箇所等の修理     
     
(2)外壁等仕上工事     
 外壁、廊下、階段、バルコニー等のコンクリート壁・手摺壁・上げ裏、庇等の塗装、タイルの洗浄・割れ・欠け等の工事     
     
(3)屋根防水工事     
 屋根、玄関・階段出入口庇等の防水層の劣化・漏水等に対する工事     
     
(4)床部防水工事     
 バルコニー、廊下・階段の床などの防水工事。タイル張り床の浮き・欠け部分の工事     
     
(5)シーリング工事     
 コンクリート打設の際の継ぎ目、建具周り、換気口金具等の周りなどの隙間に防水のために打ち込んであるシーリング材劣化部分の打ち替え工事     
     
(6)建具・金物類工事     
 玄関ドアや機械室等の扉類、メーターボックス、手摺、水槽架台、鉄骨製階段等の塗装工事。錆等で劣化した建具類などの取替工事。     
     
(7)内装工事     
 集会室や管理人室等の内装工事     
     
(8)給排水設備工事     
 給水管の更正工事(給水管内にできた赤錆を取り除き内面に保護膜を塗ったり、物理的装置によって赤錆の発生を防止するなどにより給水管の寿命を延ばすこと)や更新工事(給水管を新しいものと取り替えること)。ポンプ等のオバーホールや取替工事     
     
(9)照明器具工事     
 廊下・階段・エントランスホールなどの照明器具の劣化・損傷箇所の修繕や取替工事     
     
(10)その他工事     
 以上の他に消火設備改修工事、ガス管設備改修工事、電灯・動力設備改修工事、テレビ共聴設備改修工事事、防災設備改修工事、エレベーター設備改修工事、機械式駐車場改修工事、外構改修工事など等があります。     
         
4.改善工事をする場合の留意点     
     
a.法律的制約     
 現在の建築基準法では、増改築、用途変更、昇降機の新設、駐車場等の工作物の設置などは、建築確認の申請などを要求される場合があります。その際、現在の建物が「既存不適合」なっていと、その是正の手続きや工事、検査が必要になる場合があります。     
b.建物の制限     
 既存の建物に手を加えるわけですから、構造耐力や寸法、法令等の規制によって、個々のマンションの「できること」と「できないこと」が異なります。事前に十分な調査を行う必要があります。     
         
5.資金計画検討の留意点     
     
a.費用が不足するおそれがある場合の対応     
一時金の徴収や借入金などについて、区分所有者の意向の十分な把握が必要です。     
     
b.予備費について     
工事が始まり、足場をかけ初めて建物の仕様や劣化の状況が分かることも多く、追加工事は付き物です。追加工事が発生すれば費用がかさむ場合もあるので、当初から予備費を計上しておいた方が無難です。また、手持資金を使い切ってしまうと災害等の緊急時に対処できなくなりますので、余裕をみておきましょう。     
 (予備費の使途の例)     
・変更・追加工事     
・精算工事     
・大規模修繕の準備に必要となる費用 (工事用地の賃料など
)     
     
         
修繕内容の決定・承認 

    
 修繕委員会の検討を踏まえて理事会などで基本計画を決定します。場合によっては総会の決議が必要になる場合がありますので確認しておきます。     
          
1.理事会での基本計画の決定     
     
a.工事計画の内容     
・修繕を行う意義、基本計画の考え方、根拠     
・計画立案を進めるにあたっての準備してきた経緯     
・計画している工事範囲、内容、工期     
     
b.資金計画     

・必要工事費の概算額     
・修繕積立金の残高     
・資金計画の内容(調達方法、支払い方法)     
・資金を借り入れる場合は、借入先、金利、返済期間、融資額     
      
c.その他     
・実施設計費の支払い       
・施工会社の選定方針     
・長期修繕計画や修繕積立金の徴収額を改正する場合のは、その内容     
          
2.総会の決議 (必要となる場合) 

   総会で大規模修繕の承諾を受けていない場合や共用部分の変更に該当する場合など、総会決議が必要となります。総会決議は、決議が必要な項目についてもれなくとっておきましょう。     
       
a.大規模修繕の承認     
・大規模修繕の検討を開始した時に総会の承認を受けてない場合は、総会の決議を受ける必要があります。     
・既に決議を受けた内容から大幅に変わった場合 (改修工事を含む場合など)     
     
b.共用部分の変更にあたる場合
・管理規約に共用部分の変更についての決議要件を定めている場合には、必ず確認してください。     
     
c.管理規約の改正を必要とする場合     
・資金の借り入れの対応など ( (例)修繕積立金の返済への充当など)     
・専有部分、共用部分の範囲、管理区分の変更     
・修繕積立金の徴収額の変更          
            

2008/3/ 26     マンションの大規模修繕工事 (4)

 

詳細設計     
     
 
 修繕工事の内容、承諾がとれたら、実施設計をすすめ詳細な設計を行います。実施設計は、材料、工法、寸法、などを具体的に決定していく作業で、設計事務所などのパートナーが中心になります。施工会社選定の際に比較検討が可能となる見積書をとるためにも、きちんとした設計図書の作成が重要です。     
         
1.実施設計の手順     
    a.材料、工法の詳細検討     
 目標性能を設定してそれに合致する具体的なものを絞り込んでいきます。同じようなものでも、メーカーや工法によって、性能、コスト、機能などが異なるので、より詳細な比較検討が必要です。検討項目、検討内容は例えば次のようなであります。     
     
・外壁塗装については、塗料の耐候性、耐汚染性、テスクチャー、有害性など     
・その下地については、既存塗膜をどの程度除去(剥離)するか、除去方法はどうするかなど (現地で実際に機械を入れテストすることもある)     
・シーリングについては、材料と適用箇所、既存シーリングをどの程度撤去すべきかなど     
     
  b.清算項目、指定数量の設定     
 清算項目とは、設計段階では施工すべき数量が確定できない項目のことで、たとえば、ひび割れの長さ、鉄筋露出の箇所数、タイルの浮きの枚数等があります。これらについては、設計時点で、調査や経験に基づいて仮定した数量(指定数量)で業者見積もりを行い、その数量で契約し(単価は決定)、工事が始まり、実施数量が確定した後清算します。この方法を実費精算方式ともいい、修繕工事では、重要な項目です。     
     
  c.工期、工程、仮設計画の詳細検討     
 工期は、工事着手から完成までの期間のことであり、工程は、工事対象部分および対象棟をどのような順序と日数で施工していくかということです。仮設計画には、共通仮設と直接仮設があり、共通仮設では、現場事務所や資材廃材置場、工事用駐車場などの位置を決め、直接仮設では、足場の仮設方法(枠組足場、ゴンドラ足場等)を決めます。これらは、居住者の日常生活に大きく影響し、また工事費にも反映されるので設計者と管理組合との密な打合せが必要です。     
     
  d.設計図書の作成     
 以上の結果を見積もりのための「見積り要領書」や設計図書(図面、仕様書)にまとめます。     
     
 管理組合の実施設計のチェックポイント     
・修繕する部分の図面がきちんとそろっているか     
・工事の内容や予算が、これまでの検討内容に沿ったものになっているか     
・改修部分と非改修部分とのグレードなどに著しくバランスを欠くことはないか     
・工事の管理体制が適切か (用地確保、安全管理、現場代理人等の配置)     
     
  見積要領書とは     
  見積依頼する会社を複数社選定し見積を依頼する場合、その見積もりに際しての条件などについて書いているものが「見積要領書」です。その内容は次のようなものです。     
     
1)工事発注者名、 

2)工事名称(例、○○マンション外壁塗装等修繕工事)、

3)場所、 

4)建物概要、 

5)見積書あて先(例、○○管理組合理事長)、 

6)見積書提出部数、 

7)見積書提出先、 

8)提出期限、 

9)提出書類(例、見積書、会社概要、決算書、実績表、概略工程表、現場代理人予定者の経歴書等)、 

10)質疑(見積りに関しての質問)についての取り扱い、 

11)現場観察・バルコニー観察の日程等、 

12)工事契約の方法、 

13)予定工期、 

14)工事代金支払方法など     
     
    
2.設計のポイント     
     
・耐久性、耐用性の目標、長期修繕計画との関連に留意すること     
・必要性能、予算との関連でグレード、性能をどの程度にするか検討すること     
・修繕部分と非修繕部分とのバランス、全体でのバランス、工事の優先順位も決めておく     
・エネルギー、資源、廃棄物及び環境への配慮     
・居住者および作業員の健康への配慮     
・工事中の生活支障(不便、不快、迷惑等)への配慮     
・既存欠陥には抜本的対策を講ずること     
・工事の保証内容及び期間を明示すること     
     


見積参加会社の選定及び施工会社の選定     
     
 修繕工事を行う施工会社を選ぶということは、工事のために多くのお金が動くことなどからいろいろな利害関係が起こりやすく、慎重に選ぶことが求められます。大切なことは、施工会社を選ぶ方法を十分検討し、その結果を明らかにして、透明性をもたせることです。     
         
1.施工会社選定方式     
     
a.入札方式     
 入札を希望する会社を公募あるいは指名して競争入札する方式です。原則としては、一番安い価格の会社と契約します。この方式は、最低価格がどの会社であるか一目で判断することができることが利点です。     
       
b.見積合わせ方式     
 特定な数社を指名して見積書を出してもらい、その内容を比較検討して、最も適当と判断される会社を選ぶ 方式です。この方式は、金額だけで判断しないで、仕様書をよく理解しているか、工事の進め方などマンションに適したものを持っているか、マンションの修繕工事の実績があるかなどを比較検討して、管理組合として求めている条件を満たす会社であるかを考慮しながら選ぶものです。     
     
c.特命随意契約方式     
 特定の1社を指名して見積書を出してもらい、その内容を検討しながら、さらにその会社と条件など協議してして決定する方式です。この方式は日常のメンテナンスを行っていて信頼関係ができている場合など(例えば、管理会社)に採用されることがあります。     
           
2.施工会社の種類     
     
a.ゼネコン系 (総合建設会社)     
 総合建設業やマンションを建設した会社などです。施工管理力や技術力は高く、マンションの新築工事を行っており、その構造や仕組みを熟知しているので、しっかりした改修工事も出来るはずです。しかしマンションの改修工事に関する経験の有無により対応の幅があります。     
     
b.専門会社系     
 専用としている分野の工事について技術力は高く、設備改修、防水工事のみなど、工事範囲が限られている場合には有効です。しかし元請けとしての施工管理力の弱いところもあります。     
     
c.管理会社系     
 大手管理会社の中には、しっかりした工事部隊をもっているところもあります。自社管理物件以外のマンションの大規模修繕工事も数多く行っています。ゼネコンと同じように請け負った工事は、専門業者を集めて行いますが、施工管理能力に乏しいこともあります。管理組合、居住者対応といったソフト面は強く、安心感はあります。
     
3.見積参加会社の選定     
     
 いずれにしても、施工会社の決定をするには、その前に見積書を提出してもらう必要があります。その見積書を提出してもらう会社をどのように選ぶのかということになりますが、次のようなことが考えられます。     
     
a.区分所有者からの推薦     
 この場合は、利害関係や感情のしこりなどについて十分配慮することが必要です。     
     
b.一般公募による     
 管理組合の掲示板に掲示する方法や業界紙などに掲載する方法(無償で掲載する業界紙もあります)。インターネットの利用など。最近は一般公募をしますと多数の会社が参加してきますので、会社概要、財務内容、大規模修繕実績等についての公募条件を明示しておく必要があります。     
     
c.修繕委員会で選定する     
 修繕委員会で候補会社をある程度の数選定し、会社概要、財務内容、大規模修繕実績の提出を求め、修繕委員会で検討し、場合によっては、施工実績のある現場を調査するなどして、見積依頼会社を数社選定する方法です。     
     
 見積を依頼する会社の選定や工事施工会社の決定をどのようにするかは、大規模修繕工事を行う作業の中でも重要なものの一つです。選定にあたって声の大きい人の意見だけを優先せずに、多くの人の意見を尊重し、皆さんが納得した上で決定することが大切です。そして決定までの経過についてはガラス張りにして、全て公表できるようにし、組合員に説明する場合にも十分理解が得られるものにしなければなりません。     
 また、見積にあたっては、できるだけ競争原理を働かせで選定することが望ましいでしょう。特命随意契約方式を採用するにあたっては、価格が適正価格であるかどうか第三者の専門家のアドバイスを受けることが望ましいことだと考えます。     
          
4.施工会社選定手順     
     
a.見積依頼施工会社選定     
 会社内容、実績、技術力、ソフト力     
     
b.交付図書準備     
 見積条件書、見積項目書、工事仕様書、設計図面     
     
c.現場説明      
 見積用図書交付・説明、現場案内     
     
d.質疑回答     
     
e.見積書受領     
 工事見積書、工程表、工事体制表     
     
f.見積書等チェック     
 見積内容、項目、数量、金額、工程、工事体制     
     
g.業者絞込み     
 ヒアリング業者決定(2〜5社)、再見積依頼(必要に応じ)     
     

h.業者ヒアリング     
 ヒアリング資料、説明の的確さ、熱意、施工管理体制、現場体制、最終金額     
     
i.施工会社内定     
          
5.選定のポイント     
     
a.見積参加者の選定のポイント     
・そのマンションの工事規模、内容と同等な工事実績の有無 (戸数、金額、件数など)     
・技術資格者数 (建築士、施工管理技士)     
・会社内容 (資本金、年間工事高、社員数、経営の安定性など)     
・マンションの近くの営業所・支店の有無     
・他のマンションでの評判     
     
b.見積書のチェックポイント     
 各社から提出された見積書の比較一覧表を作成し、個々の見積内容、単価、金額をチェックします。単価が安すぎたり高すぎたり、見積り落ちがあったりするが、それらを合計した全体工事費は、通常安いところと高いところとで2〜4割の差があります。また全体工事費の一番安いところが、内訳の各項目も一番安いとは限りません。諸経費は、標準的には直接工事費の10%ぐらいと考えられますがここで大きく差が出る場合もあります。見積内容の検討が終わった段階で、直ちに施工業者を決定する訳にはいきません。見積金額だけでなく、施工者の能力や施工体制、熱意等を含め、より詳細な検討を加えて本命業者を絞り込んでいきます。そのため、業者のヒアリングが必要となります。     
     
c.ヒアリングのチェックポイント     
 ○会社のチェツク     
・マンション大規模修繕の実績、取組姿勢、熱意     
・技術力の有無 (有資格技術者数、リニューアルに対応できる工事部門か)
     
 ○現場代理人のチェック     
・資質、居住者と良好なコミュニケーションがとれるか     
・工事内容をきちんと理解しているか (このマンションではどんな点が大変か、危険か)     
・工事計画をどのように考えているか (工程、検査、人員、安全管理、品質管理)     
 ○工事体制のチェック     
管理組合との対応 (連絡体制、広報計画など)     
・工事中の安全対策     
・下請会社への指導力、下請会社の大規模修繕経験     
・施工管理体制、工事後のアフターサービス体制
     
 d.ヒヤリング結果の取りまとめポイント     
 各社のヒヤリングが終わった後、ひきつづき立会者でヒアリングの結果について意見交換を行いどの会社に好感がもてたか話し合います。各社の印象が新鮮なうちに行わないと、妥当な比較検討が難しくなります。また事前に採点表を用意しておき、その結果をランキングするのがよいでしょう。特に、選定経過は後日説明できるように、日時、面接出席者、判定結果などの記録を残しておく必要があります。     
         
6.施工業者の内定     
     
 ヒアリング結果と見積金額を考慮して、施工業者を絞り込みます。予算と見積金額に開きがある場合は設計変更などを行い、再見積もりを行います。必要に応じて2次面接や協議を行い、1社に内定します。内定会社に内定通知を送ります。管理組合の礼儀として、選外の会社にもきちんと報告を行います     
     

2008/4/ 8     マンションの大規模修繕工事 (5)

 

施工会社の決定・契約     
     
 工事を発注するには、工事発注についての総会決議を行い議決後、施工会社と請負契約を締結します。あわせて工事監理者を設置する場合もあります。     
           
1.総会の議決     
  工事を実施するには、総会で工事内容、金額、施工会社などの承諾が必要です。これらについては、事前に管理組合便りや説明会等で充分広報しておかないと、総会で紛糾して廃案になることもあります。     
     
 決議内容     
・工事内容 (目的及び経過、工事の範囲や種目、工程)     
・予定工事費と資金計画 (借入を行う場合はその内容を含む)     
・理事会で内定している施工会社とその選定方針     
・管理組合における工事実施体制や工事監理者の設置     
・その他理事会や修繕委員会へ一任する事項     
     

なお、スケジュールに余裕がない場合に、施工会社の選定方針や概算工事費などの基本計画について総会の決議を経て、その内容に沿う範囲で、施工会社の選定までを理事会に一任する管理組合もあります。     
          
2.工事請負契約     
  管理組合(発注者)と施工会社(請負者)の間で工事請負契約を結びます。工事請負契約書は通常、契約書本文、工事請負契約約款、工事費内訳詳細書、工事仕様書からなり、これらを合体したものです。工事監理を設計事務所等コンサルタントに委託する場合は、コンサルタント(工事監理者)も契約書に記名、押印します。工事請負契約約款は、契約に関する細かい取決めを定めたもので、全国標準として公的に作成された民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款を使用する例が多いです。これは新築工事用ですが、改修工事用のものがないため、これを準用しています。     
          
3.工事監理者の設置     
  工事の施工監理とは、以下に示す業務について、監督しながら工事の品質を確保するものです。     
     
a.大規模修繕工事の設計図や工事仕様書は、どのような考え方でつくられているかなどを施工会社へきちんと伝えること     
b. 施工会社が、その工事のために、設計図に基づいてより細かく現場に合わせて作る図面(施工図といいます。)の検討や承諾     
c.材料や仕上見本などの検討や承諾、工事が設計図どおりに、また工事仕様書どおりに工事が行われいるかの確認     
d.工事の区切りごとの検査や工事完了したときの検査     
e.工事が完了した際の引渡しの立会い     
f. 工事関係図書の引渡し     
     
 このように工事監理とは、工事を依頼した者(大規模修繕工事の場合管理組合)の立場で、工事が設計どおり正確に行われているかを確認する業務です。一方、施工会社の監督員(現場代理人といいます。)は、現場の作業員等に指示したり、施工監理者と打ち合わせをしながら工事現場の管理をするもので、どちらかというと工事施工会社の立場で現場を管理するものです。大規模修繕工事の工期は、マンションの規模や修繕工事の内容によって異なりますが、一般的な工事では3〜4ヶ月必要となります。その間、工事は施工会社まかせにしてもよいのですが、下地工事のように工事が終わってしまえば目に見えない部分など大事な工事が、キチント行われているか不安になったりします。修繕委員や理事の方々が現場確認できればよいのですが、昼間は勤めがあったりして、修繕工事のために時間がとれないことや専門的な内容について不案内であることから、現場監督がおろそかになってしまいます。修繕工事にあたっては、材料や施工方法が設計どおりに行われているかなどのチェック、また、工事が完了するまでの間、いろいろな検査が必要となります。材料が現場に運び込まれたときに設計どおりの材料であるかの材料検査、工事の段階毎の検査、例えば、下地工事が終わった段階での確認検査、使われた材料の使用量が適正であるかの使用量検査、工事が完了したときの完了検査等があります。これらの検査をキチント行うことによって、修繕工事の内容を管理組合が求めていた品質のものにすることができます。そのためには、施工監理の費用が必要となりますが、設計事務所等の建築士に施工監理を依頼することによって、設計どおりに工事が行われているかの確認、工程どおりに工事が進んでいるかの確認、手直しの指示や検査の実施など、第三者の立場から適正・的確なチェックをしてもらうと安心することができると思います。     
                
工事のお知らせと準備     
     
 大規模修繕工事の期間中は生活に不便を生じたり、近隣に迷惑がかかる事もあります。そのため、きめこまやかな対策が必要です。また、共用部の修繕であっても、居住者等の協力を得なければ工事が出来ない箇所があります。工事中に生じる状況を想定して、居住者等に事前に知らせておくことが大切です。     
         
1.工事説明会     
 工事の1ヶ月ぐらい前に、区分所有者や居住者に対する工事説明会を開催します。管理組合が主催するものですが、施工会社、工事監理者が主体的に説明すべき事項もあります。事前に工事説明会資料(工事のしおりなど)を配布しておき、その資料に従いビデオ等を交えて説明し、質疑応答を行うのが一般的です。     
     
 具体的内容の例     
・工事常駐者、担当者の紹介     
・工事内容、施工体制、工事工程(工程表)の説明     
・現場事務所等の仮設、足場、安全対策、作業時間、品質管理方法の説明     
・注意、お願い事項     
     
 この中で最も大事なことは、居住者がいつまでに何をしなければならないのか(バルコニーの片付など)、バルコニーはいつからいつまで使用制限があるのか、出入りできないのか、プランターなどのバルコニーの設置物はどこに移動すればよいのか、ルームエアコンは使えるのか、断水や水が流せないことがあるのか、工事の音、振動があるのかなどの点をはっきり分かるようにすることが必要です。     
          
2.工事のおしらせ     
 工事工程や生活への影響などを周知するための掲示板などを見やすいところに設置します。     
     
 工事用掲示板の内容の例     
・工事工程や作業内容等の進捗状況を知らせる     
・窓の開閉制限、バルコニーの使用制限などの居住者への協力を要請する     
・見取り図等により、立入禁止区域、駐車制限区域等を知らせる     
・壁面塗装等の色見本など工事内容を知らせる     
         
3.各住戸の準備     
 工事を始める前に、各戸のバルコニーの片付けや自動車の移動などを居住者にお願いして進めます。個人ではなかなか足並みがそろいにくいため、エアコン室外機の脱着や植木の管理などを管理組合で取りまとめて行うことも検討する必要があります。     
         
4.供用部分の準備     
 資材置場や廃材置場、足場を設置するスペースの確保が必要となることがあります。また、工事実施中敷地内の駐車場が使えなくなるような場合もあり、対応が必要となります。そして、費用の負担方法についてもあわせて明確にしておく必要があります。     
     
     
5.近隣へのあいさつ     
 大規模修繕に伴い、騒音・悪臭・工事車両の通行により近隣住民などの生活に窓を開けられないなどの支障をきたす場合は、トラブルを防ぐために、事前に工事の内容や工程について説明しておくことが大切です。修繕後も近隣地域と継続してお付き合いしていくことを考えると、施工会社に同行して管理組合もあいさつした方が望ましいといえます。

2008/5/ 5     マンションの大規模修繕工事 (6)    

工事完了の手続き     
 工事が完了したら、管理組合として工事が終了したことを確認し、その旨を区分所有者全員に通知する必要があります。一般的には、工事完了報告会を開催し経過を報告します。     
         
1.工事の検査     
 工事検査には、施工者内検査、工事監理者検査、管理組合検査、居住者確認(検査)の四つがあります。     
 検査を時系列でみれば中間検査(工事工程ごと)、足場解体前完了検査、および竣工検査です。検査の順番としては、社内検査→監理検査→組合検査ですが、日程的にその期間が取れない場合もありますので、余裕をもって工程を組む必要があります。     
  居住者確認は、バルコニーや玄関廻りなど居住者が最も気になり気がつく箇所を対象にして行います。検査の結果不具合箇所があれば、手直しを行い再確認してその部分の工事は完了します。このようにして、最終の竣工検査まで終われば工事が完了となります。     
     
2.竣工図書の受取り     
 工事が終了すると工事監理者や施工会社から竣工図書を受取り、内容について説明を受けます。竣工図     
書は、今後の建物の維持管理において重要な書類となりますので、保管場所を定めて新築時の竣工図書と     
合わせて保管する必要があります。     

   主な竣工図書等     
 1. 工事完了届(建物等引渡し書等)     
 2. 竣工図面     
 3. 変更仕様書(追加・変更工事等)     
 4. 施工写真     
 5. 各戸の補修確認書控     
 6. 工事代金支払い領収証等     
 7. 保証書(施工保証書等)     
 8. アフター・メンテ計画書(アフターサービスの覚書等)etc     
     
3.工事完了報告会     
 管理組合として正式に工事完了したことを確認し、区分所有者や居住者に通知します。経過報告と今後のことについて確認するため、工事完了報告会を開催します。     
     
     
定期検査とアフターケア     
  仕様書や契約書に性能保証書と合わせて、請負者による工事完了後の定期検査が義務づてられています。1年目では、請負者の自主検査だけではなく、居住者のアンケート調査を行ったりして完全を期しましょう。     
     
1.アフターケア計画     
      
・施工箇所の経年チェックを、いつ、どのように行うか 

・経年チェックを実施するまでの間に、不具合やダメ部分が生じた場合の対処方法(施工側と事前に取決め)     
・施工側のアフターメンテの担当者(窓口)を明確にしておく     
・管理会社との打ち合わせ(施工箇所等の事後管理について)etc.     
     
※経年チェックの時期、方法、部位(箇所)等は、アフターメンテ計画書に具体的に明記しておきましょう。例えば、鉄部の塗膜や給水管テストピースは2年毎、外壁や屋根防水等は2年目チェック・5年目チェック・10年目チェック等、施工保証との関連で計画します。 

     
※アフターメンテ計画は竣工時に竣工図書等と一緒に施工側から書面で提出してもらうようにしましょう。    
 
         
2.不具合箇所の対応     
  不具合箇所が発見された場合に有償補修か無償補修かの判断の参考メモを下記に記載します。     
     
有償補修(部分)     
施工側の責任でない天変地変等により施工箇所等が破損したケースや居住者がリフォーム工事などで故意または過失により破損させた場合など。     
無償補修(部分)     
施工保証(契約)、瑕疵担保責任、アフターサービス等により無償で補修する場合など。     
施工保証     
工事の契約時に施工側と約定した工事の性能保証等(工事契約欄参照/工事保証等のいろいろ)。     
瑕疵担保責任     
工事に瑕疵等があった場合に施工側が金銭または無償で補修工事を行う(無償)。瑕疵とはキズのことで、改修工事で云えば工事の欠陥を指します。     
アフターサービス     
瑕疵の有無に関わらず、施工側が無料で補修工事や点検を行う。業界によっては各々アフターサービス規準等を取り決めています。